公認会計士とは?税理士との違いは?その疑問に答えます!

公認会計士

公認会計士という職業は、テレビではなかなか紹介されず、日常生活において身近にいる存在ではないので、知名度はすごく低いと感じています。

名称に「会計」の文字が付いているのでお金に関わる仕事をしているというのはご承知の通りですが、具体的にどのような仕事をしているかご存知でしょうか。

実際に私も会計士という言葉は聞いたことがありましたが、社会人になるまでは公認会計士という職業を知りませんでした。

知り合った人から私の仕事について聞かれ、自分が公認会計士であることを説明しても、仕事の内容についてまではピンときていないようで、税理士とあまり区別がついていないような反応をされます。

街の至る所に税理士事務所があるように、公認会計士事務所も同じく存在するので、税理士と似たような仕事をしていると思われているようです。

このように公認会計士と普段接する機会のない人の中では、公認会計士は税理士との区別が明確になされておらず、ふわっとした存在のままやり過ごされているので、公認会計士のことをもっと詳しく知ってもらうために、税理士との違いを交えながら公認会計士について説明していきたいと思います。

税理士の仕事内容は?

税理士の仕事はみなさんご存知のとおり、税金に関わる仕事です。

税金と言っても、法人税、所得税、消費税、相続税、固定資産税、住民税など様々な種類の税金があります。

株式会社であれば会社の儲けにかかる法人税の申告書を、事業所得や不動産所得などがある個人であればそれらの所得にかかる所得税の申告書を作成、提出し、税金を納める必要があります。

また、一定の要件を満たしている株式会社や個人事業主は消費税の申告書も提出し、納税が必要となってきます。

ほとんどの税理士は、これらの法人税、所得税、消費税に関する業務を主な仕事としています。

具体的には、お客さんの代わりに税金の申告書を作成し提出したり、お客さんからの税金についての相談に応じたり、税務調査に立ち会ったりします。

その他の種類の税金としては、亡くなった人の相続財産にかかる相続税の申告に特化して、仕事をしている税理士もいます。

これらの税金に関する業務は「税務の代理」、「税務書類の作成」、「税務相談」と言われ、税理士にしか行うことができない独占業務です。

税金以外の仕事としては、従業員が数名程度の会社や個人事業主の税務顧問をしている場合には、会計の記帳や従業員の給与計算など、会社の総務部、経理部、人事部のような役割を税理士が担うこともあります。

税理士は、個人で事務所を立ち上げて「〇〇税理士事務所」や「○○会計事務所」などの屋号で業務をしたり、2名以上の税理士で共同して法人を作って「〇〇税理士法人」の名称で業務を行っています。

税理士事務所や税理士法人の従業員として働いている税理士もいます。

公認会計士の仕事内容は?

税理士に独占業務があるように、公認会計士にも公認会計士しか行うことができない独占業務があります。

それは、「監査業務」です。

監査といってもいろいろありますが、公認会計士が監査の対象としているのは「会計」です。

この「会計」とは、企業等が作成した貸借対照表や損益計算書などの財務書類のことを指しており、公認会計士は財務書類が本当に正しいかどうかを監査します。

株式市場に上場している株式会社を例にして説明します。

株式市場に上場すると、その会社の株式は証券会社を通じて日本中、世界中の組織や個人(投資家)が売買することができます。

それらの投資家は、売買対象の会社の業績などの情報(財務書類)を判断材料として行動することが多いのですが、もし大赤字の会社が財務書類の数字を操作して黒字になるように改ざん(粉飾決算)すればどうなるでしょうか。

大赤字の会社だということを分かっていればその会社の株式を買うはずのない投資家は、黒字という情報を信用して買ってしまいます。

その後、粉飾決算が明るみにでて株価が大暴落すれば、黒字という情報を信用して株式を買った投資家は大きな損害を被ってしまいます。

このように投資家が正しくない情報によって損害を被らないように、公認会計士が財務書類を監査して正しい情報かどうかを判断するのです。

株式市場において投資家が安全に取引できるように、すべての上場会社の財務書類の適正性について監査している公認会計士は、社会において非常に大きな役割を果たしています。

仕事の内容がいかんせん地味なので、ドラマの題材になりにくく知名度が上がらないのが残念なところですね。

上場している名だたる有名企業の監査を行っているのは「〇〇監査法人」という組織であり、公認会計士試験の合格者のほとんどは、監査法人に就職します。

日本には、200超の監査法人があるようですが、その中でも「有限責任監査法人トーマツ」「有限責任あずさ監査法人」「EY新日本有限責任監査法人」「PwCあらた有限責任監査法人」はBig4と呼ばれていて、従業員数が3000人から7000人のかなり大きな組織となっています。

監査って何をするの?

公認会計士の仕事が監査ということは分かりましたが、実際に監査というのはどのようなことをしているのか説明したいと思います。

まず、財務書類の監査の仕事のサイクルは、会社の事業年度と同じ1年です。

上場企業の監査であれば、決算で公表される有価証券報告書の監査がゴールとなります。

有価証券報告書には、会社に関する様々なことが記載されていますが、監査対象のメインとなるのは貸借対照表や損益計算書などの財務諸表です。

貸借対照表には会社の資産や負債などの金額、損益計算書には売上高から営業利益、経常利益などの会社の1年間の業績を示す金額が、勘定科目ごとに記載されているのですが、この金額が正しく表示されているのか監査を行うのです。

例えば、有価証券報告書の決算日3月31日時点の貸借対照表に「現金」の金額が1,000円と表示されていたとしましょう。

この1,000円が正しいかどうかの監査は、「現金実査」という監査手法を用いて行います。

「現金実査」とは、3月31日に現金が保管されている場所に会計士が出向き、会計士自身が小口金庫に入っているお札や硬貨を数えて残高を確認する方法です。

実際に数えた金額が1,000円であった場合、後日作成された有価証券報告書の貸借対照表の「現金」は1,000円と表示されていたので正しいと証明することができます。

次に、損益計算書の売上高に10,000円と表示されているとしましょう。

この10,000円が正しいかどうかを証明するには、売上代金が入金されているかどうかを通帳に記入されている取引金額によって確認します。

また、決算日3月31日時点でまだ入金されていない場合には、10,000円が売掛金や受取手形などの売上債権として貸借対照表に計上されているかどうか確認し、売った得意先に対して、10,000円の債権があるかどうか会計士が直接「残高確認書」を送付して確認します。

このように貸借対照表や損益計算書のすべての勘定科目の金額について、正しく表示されているかどうかを様々な監査手法を用いて検証していきます。

有価証券報告書の貸借対照表や損益計算書の金額の検証は、1年の監査サイクルのうち終盤の約2か月間で実施されます。

それまでの時期は何をしているかというと、まず初期段階で監査の方針や年間計画を決定するために監査チームでミーティングを行い、数多くのドキュメントを作成します。

そのあと監査計画に基づいた日数・人員構成で監査対象会社の主要拠点や工場、子会社などに赴き、会計数値に繋がる業務の流れを理解したり、正しい会計数値が仕訳として反映できているかテストしたりします。

上場企業では、期首から3か月ごとに四半期報告書という書類を年に3回作成・開示する義務があるので、四半期レビューを呼ばれる簡易な監査もします。

監査は基本的に監査対象会社のオフィスに訪問して会議室を借りて業務を行うので、会計士は自宅から直接現場に行くことがほとんどです。

会計士の職場である監査法人の事務所に戻る用事がなければ、監査対象会社のオフィスから自宅に直接帰宅します。

一人の会計士が担当する会社の数、訪問場所はさまざまで、日によって朝出勤する時間は違うし一緒に仕事をする人やチーム内での自分の役割が変わるので、最初は戸惑います。

全国各地への出張も多く、海外出張に行ける機会もあります。

私の場合、年間勤務日の半分近くが出張という時期があり、ホテル暮らしで心休まる時間がほとんどなく、疲弊していたこともありました。

毎日、同じ席で同じ顔触れと仕事をするのが嫌だという方には、もってこいの職業かもしれませんね。

公認会計士は税理士になれる!

税理士と公認会計士の仕事内容について説明しましたが、主たる業務の内容が全く違うことを理解していただけましたか。

公認会計士のキャリアアップとして個人事務所を立ち上げるという選択肢があります。

「〇〇公認会計士事務所」といった感じです。

個人事務所では上場企業などの大きな会社の監査業務は行っていませんが、学校法人や社会福祉法人、労働組合などの小規模な法人の会計監査を行っていることがあります。

また、監査法人時代からの付き合いで、独立後も上場企業の会計コンサルティングを行っている個人事務所もあります。

しかし、会計監査や会計コンサルティングのみでは、安定して大きな収入を獲得し続けることは難しいので、ほとんどの公認会計士事務所では、税理士の独占業務である「税務の代理」、「税務書類の作成」、「税務相談」をメイン業務として行っているのです。

これらの業務は、顧客のビジネスが存続する限り毎年必ず必要となるサービスなので、途切れることなく業務報酬を得ることができるからです。

しかしなぜ、公認会計士が税理士の独占業務を行うことが出来るのでしょうか。

実は、公認会計士の資格を持っていれば登録申請するだけで税理士になることができるのです。

一時期、この制度について税理士側からの反発もありましたが、公認会計士試験に税金の科目があることや、公認会計士の継続的研修制度に税務単位の取得を必要としていることにより、引き続き公認会計士が税理士になることが認められているのです。

私自身、もともと税理士になりたかったのですが、このような制度があることを知り、公認会計士を目指すことにしました。

公認会計士にとって、この制度は将来のキャリアアップの方向性が広がるのでとてもラッキーだと思います。

税理士、公認会計士の試験の内容について

税理士や公認会計士になるためには、まずは国家試験に合格する必要がありますが、試験内容に重複している部分はあるものの、試験方法や試験時間、合格単位などが大きく異なります。

税理士試験は、必須科目である「簿記論」「財務諸表論」、選択必須科目である「法人税法」「所得税法」、選択科目である「相続税法」「消費税法」「酒税法」「国税徴収法」「住民税」「事業税」「固定資産税」の合計11科目うち5科目を合格すれば、税理士となる資格を有することができます(実務経験を2年以上積めば税理士になれる)。

一度合格した科目は、その後ずっと持ち越すことができるため、毎年1科目ずつ合格し5年かけて5科目合格することも可能です。

試験時間は、各科目2時間の筆記試験となっています。

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階になっていて、短答式試験に合格すれば論文式試験を受験することができます。

短答式試験は「財務会計論」「管理会計論」「監査論」「企業法」の4科目のマークシート方式による試験です。

試験時間は、「財務会計論」が2時間で他の科目は1時間です。

短答式試験に合格すれば、次の論文式試験に落ちても2年間は短答式試験が免除されます。

論文式試験は必須科目である「会計学」「監査論」「企業法」「租税法」、選択科目(1科目選択)である「経営学」「経済学」「民法」「統計学」の総点数により合否が判定されます。

試験時間は、「会計学」が休憩を挟みますが合計5時間で他の科目は2時間です。

就職に有利なのはどっち?

公認会計士と税理士のどちらが就職に有利なのかというと問いの答えは、どちらも同じくらい有利です。

公認会計士の場合、試験に合格するとほとんどの人が監査法人に就職します。

それは監査法人に就職することによって、公認会計士のメイン業務である監査の仕事に携わることができ、この監査業務が公認会計士登録に必要な実務経験の要件を満たしているからです。

監査法人といってもBig4と呼ばれる大法人から公認会計士が5人だけの中小法人まで日本全国にたくさん存在しますので、公認会計士試験に合格したけど就職できないなんてことは、現状ではあまり聞きません。

一方税理士の場合、簿記論と財務諸表論を合格した段階で、税理士法人や税理士事務所などに就職するパターンが多いようです。

税理士法人や税理士事務所は全国各地に多数あり、税理士を目指している人材は事務所にとって即戦力になります。

また、税理士試験の受験者数が年々減少していることもあり、将来の税理士を確保したいと考えている税理士法人は多いと考えられるため、就職に困ることはないでしょう。

年収が高いのはどっち?

公認会計士と税理士でどちらの方が年収が高いのかは就職する法人、会社、事務所によってもかなりのばらつきがありますし、独立して成功するとあり得ないぐらい稼ぐことができますので、判定は難しいところです。

ただ、試験に合格した後の数年を限定として、平均年収で比較をすると公認会計士のほうが年収が高いと考えます。

監査法人と税理士法人どちらにもBig4と呼ばれる組織がありますが、給与水準はどちら業界トップクラスです。

公認会計士試験に合格すれば大半の人間は、このBig4の監査法人に就職できますが、税理士試験に合格した人はというとそうではありません。

つまり、試験に合格した後の数年間は、公認会計士のほうが平均年収は高いでしょう。

まとめ

公認会計士について、理解していただけましたか。

独立して個人事務所を構えている街の公認会計士は、税理士としての業務をメインとしているため、公認会計士と税理士の区別がつかないイメージがついているのだと思います。

公認会計士は難関資格であることや、公認会計士のメイン業務である監査がこの世の中になくてはならない仕事だということを、周りの人にも教えてあげていただければと思います。

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