個人事業主でも法人でも、車を利用して仕事を行いますのでガソリン代は必要経費になります。
仕訳で使用するガソリン代の勘定科目は、「旅費交通費」や「燃料費」など、当てはまる勘定科目がいろいろあって、どれを使用していいのかわからないのではないでしょうか。
そんな悩みを解消するため、車の利用頻度や営んでいる業種に適したガソリン代の勘定科目について解説しますので、仕訳をする際の参考にしてみてください。
勘定科目は継続使用が望ましい
費用の勘定科目には、標準的な名称のものが存在しますが、特に法令で細かく決められているわけではないので、例えば「ガソリン代」といったオリジナルの勘定科目を作成して使用しても問題はありません。
しかし、前年度のガソリン代は「旅費交通費」、今年度は「燃料費」、来年度は「車両費」というように、使用する勘定科目をコロコロ変更するのは望ましくありません。
それは、毎年の費用の発生状況を勘定科目ごとで比較して、経営分析をすることが難しくなってしまうからです。
一度使用することに決めた勘定科目は、その後も継続して使用するようにしましょう。
うっかり間違えてしまわないように、勘定科目と費用内容が一目でわかるマニュアルを作成するのもオススメです。
ガソリン代の仕訳例
・ガソリンスタンドでレギュラーガソリンを満タンに給油し、代金5,872円を現金で支払った。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
旅費交通費 | 5,872円 | 現金 | 5,872円 |
ガソリン代の勘定科目は?
仕訳例では「旅費交通費」を使用しましたが、「車両費」や「燃料費」、「消耗品費」など使えそうな勘定科目は他にもあります。
毎年継続して同じ勘定科目を使用するのであれば、どれを選択しても間違いではないですが、ガソリンの購入頻度や営んでいる事業の業種に応じて勘定科目を選べば、販管費の内容が読み取りやすくなります。
車をほとんど使用しない場合
業務で車をほとんど使用しないので、ガソリンの購入頻度が月に1回あるかないかといった場合には、「旅費交通費」や「消耗品費」を使用するのがよいと考えます。
このとき「旅費交通費」には、電車代やタクシー代、コインパーキング代なども含まれることになりますが、移動手段に関する費用をまとめることで、わかりやすくなります。
ガソリンは消耗品なので「消耗品費」を使用するのもよいでしょう。
車を複数台所有している場合
車で移動することが多い、または車を複数台所有しているような場合には、「車両費」を使用することで、ガソリン代や駐車場代、修理代や自動車保険など、車にかかるすべての費用をまとめて同じ勘定科目で管理し、経営分析に活用できます。
車が必須の業種を営んでいる場合
業種が配送業や運送業の場合、ガソリンや軽油の購入頻度はかなり高いはずです。
使用する勘定科目としては「燃料費」を選択するとよいでしょう。
ガソリンや軽油の購入費用の金額が多額になるので、そのためだけに使用する勘定科目を選択することで、一目で合計金額を把握することができます。
このように、会社や自分が営んでいる業種や車の利用頻度に応じて、勘定科目を決めるとよいでしょう。
ガソリン代の消費税の区分は?
ガソリン代の消費税区分は、全額「課税仕入れ」となります。
ガソリン税は気にしなくても大丈夫です。
ガソリンと軽油の会計処理の違い
ガソリンを購入した場合と軽油を購入した場合の違いは、ガソリン税には消費税がかかっていて、軽油引取税には消費税がかかっていないということです。
例えば、ガソリンを税込1,300円分(ガソリン税538円を含む)購入したときの仕訳は、
借方科目 | 借方税区分 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
旅費交通費 | 課税仕入れ | 1,300円 | 現金 | 1,300円 |
となります。
次に、軽油を税込1,100円分(軽油引取税321円を含む)購入したときの仕訳は、
借方科目 | 借方税区分 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
旅費交通費 | 課税仕入れ | 779円 | 現金 | 1,100円 |
旅費交通費 | 対象外 | 321円 |
となります。
軽油引取税には消費税がかかっていませんので、税区分を対象外にする必要があります。
軽油を購入した場合には、レシートをしっかり確認して、仕訳をしましょう。
個人事業主のガソリン代の按分
個人事業主さんは、自家用車を平日は事業用として、休日はプライベート用として使用している場合が多いと思います。
事業用として使用した分にかかるガソリン代は、個人事業としての経費となります。
しかし、プライベート用として使用した分にかかるガソリン代は経費にはなりませんので、除外しなければなりません。
事業用分のガソリン代を経費として落とすには、合理的な基準で按分して税務署を納得させる必要があります。
適当に50%と仮定するのは安易すぎます。
実際の走行距離や走行時間で按分してみると、事業用の使用割合が50%を超えているかもしれませんので、もっと多くのガソリン代を経費とすることができます。
ただし、その按分根拠となった走行記録などは保管しておく必要がありますので注意しましょう。