従業員に給料を支払うときに、通勤交通費を一緒に支払ったり、社会保険料や雇用保険料を控除したり、住民税や所得税を預かったりと、いろいろな要素が絡んでいますので、最初のうちは仕訳に使用する勘定科目も迷いがちです。
そこで給与を支払ったときの簿記の仕訳、勘定科目について、例題を使って仕訳例を説明します。
経理の初心者の方にも、わかりやすく書いていますので、ぜひ参考にしてください。
正社員に給与を支給した場合
正社員5名に下記の内訳の給与を振込で支給しました。
○支給
基本給 1,500,000円
残業手当 64,000円
通勤手当 36,000円
○控除
厚生年金 137,500円
健康保険 77,000円
介護保険 5,500円
雇用保険 4,800円
所得税 40,000円
住民税 37,000円
借方科目 | 借方金額 | 借方税区分 | 貸方科目 | 貸方金額 | |
給与手当 | 1,564,000円 | 対象外 | 基本給+残業手当 | ||
旅費交通費 | 36,000円 | 課税仕入れ | 通勤手当 | ||
預り金 | 220,000円 | 厚生年金+健康保険+介護保険 | |||
法定福利費 | 4,800円 | 雇用保険 | |||
預り金 | 40,000円 | 所得税 | |||
預り金 | 37,000円 | 住民税 | |||
普通預金 | 1,298,200円 | 振込支給額 |
基本給、手当(通勤手当は除く)には、「給与手当」の勘定科目を使用します。
通勤手当は、一般的に「旅費交通費」の勘定科目を使用しますが、「給与手当」を使用しても問題はありません。
しかし、「通勤手当」は消費税の税区分が、「課税仕入れ」なので、税区分が「対象外」である基本給等とは、区別して仕訳をしなければならないことに注意しましょう。
※消費税の納税をしなくてもいい免税事業者は、税区分を気にする必要はありません。
社会保険料や税金の控除については、一般的に雇用保険以外は「預り金」の勘定科目を使用します。
雇用保険は、「法定福利費」の勘定科目を使用します。
「法定福利費」は費用科目なので、費用の貸方はマイナスになりますが、気にしなくても大丈夫です。
会社が雇用保険料を支払ったときに、借方の「法定福利費」で仕訳をするので、マイナスは相殺されるからです。
アルバイトやパートの給与を支給した場合
パートさん2名に下記の内訳の給与を振込で支給しました。
○支給
基本給 120,000円
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
雑給 | 120,000円 | 普通預金 | 120,000円 |
アルバイトやパートに支払った給与は、「給与手当」や「雑給」の勘定科目を使用します。
正社員の給与と区別したい場合には、「雑給」を使用すれば、経営分析にも役立つでしょう。
派遣社員の給与を支払った場合
派遣社員の給与として、派遣会社に150,000円を支払いました。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
外注費 | 150,000円 | 普通預金 | 150,000円 |
派遣社員の給与は、「外注費」の勘定科目を使用します。
「人材派遣費」など、もっと分かりやすい勘定科目を作成し使用するのもよいでしょう。